狛犬めぐり

いつだったか、県内で発売されている雑誌で狛犬の特集が組まれているのを見かけました。うっすら興味はあったけど、その時はピンと来ず、雑誌を手に取ることもありませんでした。もう2年ぐらい前のことだと思います。しかし最近、狛犬の話題を人から聞くことがありました。その方も最近狛犬に興味を持ったということで、いろいろとお話しを伺ううちに、これは是非見てみたいな〜と思うようになりました。

というのは、やっと県南地域に行くきっかけが出来たようにも思ったからです。これまで訪れたこともなく、市町村の名前だけは聞いたことがあるけれど、自分にとって全くの未知でしたから、この地域にはこんな面白そうなものがあるんだ!というのが、理由でしょうか。

もともとは、狛犬への興味というよりは、石像への興味が自分の中にありました。「ヨーロッパは石の文化、アジアは木の文化」建築に置いてなのか、こんな言葉を聞いたことがありますが、考えてみれば、狛犬は間違いなく、立派なアジアの石の文化の顕われだと思います。

今回は3箇所行ってみました。詳しいことは既に書かれているものがあるので特に述べませんが、小松利平・小松寅吉・小林和平の3代の手になる狛犬が見れる場所は本当にたくさんある!写真で気になったものを選びましたが、実際にそれらの狛犬が置かれている神社をお参りすると、その周辺の空気感も相まって、大袈裟でなく、カルチャーショックの感すらありました。たぶん、ごくごくありふれた地域のための神社にその狛犬があるからこそ、ギャップを感じたのだと思います。「この地域ではこれが普通なのだ」という感覚。そういうものに触れることができて、嬉しくなりました。

1箇所目:石都々古和気神社(いわつつこわけ)

石川町にある神社です。こちらは小林和平作。今日伺った神社の中では1番規模が大きく、また広く訪問者を受け入れている神社でしょう。駐車場も広く、トイレもあります。長い階段を登って本殿を目指しますが...その前に、狛犬は居ました。「おわっ!いる!!」って感じ。

こんなに横幅がある狛犬は初めて見ました。「飛翔獅子」という構図なのだそうで、まさにこれこそが寅吉から繋がる系譜の特徴です。ややのっぺり気味の顔がユーモラスです。このあと見た別の狛犬を思うと、これは小林和平的な特徴なのでしょう。ユーモラスでありながら、顔面にこそ力が入っているような気迫を感じました。

2箇所目:鐘鋳神社(かねい)

棚倉町にある神社です。1箇所とは打って変わって、ひっそりとしたところでした。国道を通っていると小さな看板が方向を示してくれますが、ここ曲がっていいの?と思うような細い道でした。とりあえず進み、最終的には結構進んで鳥居の向かい側のスペースに留めましたが...。

鎮守の森に囲まれた、小さく、静かで、神聖な雰囲気のある場所です。

ここにある狛犬の苔生した姿は、素敵でした。これまた小林和平作。滑らかな肢体に気迫ある表情。左にいる子供の1匹が同じようなポーズをとっているのがとても可愛らしいです。

3箇所目:鹿島神社

白河市にある神社です。駐車場に車を停めた時から、小高い丘の上にある本殿と大きな狛犬が見えて嬉しくなります。ここもこじんまりとした神社です。

こちらは小松寅吉の作。本当に大きな狛犬です。気迫とか力強さ、わっ!とくるような凄みがあります。通常は?左側の狛犬に3体の子どもがいるのですが...1匹は右側の方に遊びにいってしまったようです☺️そんな遊び心も粋ですね。

狛犬もさることながら、この神社の立地がとても良いなと思いました。なだらかな丘の高台で、なんとなく周辺の集落を見渡せるように神社は立ち、その横の敷地は墓地になっています。亡くなった方、神さまが見守るような、そんな場所を選んだのでしょうか。

晴天で、冬ながら風もそこまで冷たくなく、本当に爽やかで気持ちの良い場所でした。何気に長居してしまいました。

鳥居に戻り、また振り返り見ると...やっぱり狛犬と本殿の存在感のバランスがすごい。この(僕にとっては)アンバランスな佇まいは、何度の何度も目に入れたくなる魅力があるように思いました。自分の中にある神社のイメージとは違う、立派な主役に、こちらの狛犬はなっています。

初めての県北地方は、車で2時間かからない場所ながら、文化の地域差を強く感じることができました。なにより、道に雪がないのが快適!!晴天の冬日、楽しい狛犬巡りとなりました。